マンションを買うなら「60㎡」がベストな4つの理由

マンションを買うときは、価格や立地、間取りなど、さまざまな条件を考慮する必要がある。なかでも、将来の資産価値が下がりにくい物件を選ぶには、「広さ」も重要なポイントになる。不動産コンサルタント・後藤一仁さんは、「マンションを買うなら60㎡がベスト」と語る。その4つの理由とは。

守備範囲が広く、損をしにくい「60㎡」物件

マンションを買うなら「できるだけ広い部屋で快適な生活を送りたい」と考える人は多いだろう。しかし、広すぎる物件を選ぶと、結果的に損をしてしまう場合もありえる。不動産コンサルタントの後藤一仁さんは、マンションの場合、“あらゆる層”が選ぶべき広さは「60㎡」と語る。

「さまざまな条件を集約した結果、最も守備範囲が広いのが60㎡なんです。かつ“利便性”がよく“2001年以降に完成した物件”は資産価値が落ちにくく、買ったあとも損をしにくいんです。つまり、将来も高く売れやすいと言えるでしょう。さらに、70~80㎡に比べると安く購入でき、今後の需要も下がりにくい。60㎡とは実質54~68㎡を目安に考えてみてください」

“利便性”について東京を例に挙げると、都心(山の手線内、同線駅周辺)・準都心(山の手線から約15分以内)の駅から徒歩5~7分。乗車時間だけで判断するのではなく、実際の距離で考えることが重要だ。また2000年には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行された。耐震力や遮音性、省エネなど住宅の性能を明らかにする「住宅性能表示制度」もできたため、総じて“2001年以降に完成した物件”には良質なものが多いという。

「一人暮らしだから狭くていい」「子どもがいるから広い部屋を」など、一般的な考えにとらわれず、視野を広げてみてほしい。後藤さんが唱える「60㎡最強論」の4つの理由をみていこう。

理由1【売りやすい】あらゆる層からの需要が多い!

エリアによって需要は異なるため一概には言えないが、おおよそ60㎡は売りやすい条件のひとつになる。

「将来売ることを考えた際に最もターゲット層が広いのは、都心で駅近の60㎡です。カップルを含む夫婦2人から、子ども1~2人の夫婦のほか、シニアや単身、兄弟姉妹、シングルマザー・ファーザーなど、年間を通じて多くの需要があります。加えて、投資家や相続対策を考える層にも人気です。一方、75㎡以上の物件はどうしても売りやすい層と時期を選んでしまいます。というのも、ファミリー世帯が多く、お子さまの入学・入園に合わせ時期が絞られてしまうからです」

国立社会保障・人口問題研究所が公表する「日本の将来推定推計(2018年)」によると「単独」「夫婦のみ」「ひとり親と子」の割合が増加している。広い家が必要なファミリー層は減る一方、1~2人世帯、3人世帯は増えているのだ。

理由2【貸しやすい】1年を通じて借りられやすい!

将来に貸すことを考えたときも、60㎡は有利だ。ターゲット層は広く需要が多いにも関わらず、物件数が少ないという。

「不動産会社が利用できる物件検索システムの結果、山手線北部のある駅を例にとると20~30㎡が8割近くを占め、40㎡以上の物件に至っては2割ほどで、足りていない状況です。ただし、先ほどお話ししたように広すぎる部屋は時期を選びます。貸したいと考えた際に、その点がネックとなりかねません。入居者が決まるまで当然賃料は入りません。しかし、その間も住宅ローンを始め、管理費や修繕積立金、固定資産税等の負担はそのまま負うことになります。空室期間が数カ月続くとその負担は多大です」

回収しようと賃料を上げたとしても「賃貸で25万円以上を払う層は多くなく、今後も増えるとは思えない」とのこと。広すぎる物件は「売りたいのに売れない、貸したいのに貸せない」状況に陥る可能性もある。売りやすく貸しやすい「60㎡」の物件は現金化しやすいため、住宅ローンのプレッシャーも少なくてすむ。

理由3【コスパがいい】使わない部屋にもお金がかかる!

単純に光熱費や清掃、維持費を比較したときにも、広さは負担になる。「80㎡と60㎡のマンションに40年間住んだ場合にかかる費用負担の差は2,600万円以上」という。

「70〜80㎡では部屋が余ることがあります。例えばお子さんが生まれ、子ども部屋を想定して購入しても、実際に1部屋が必要になるのは約10年後です。将来必要な最大限の部屋を想定すると、その間は無駄な空間になるかもしれません。その部屋にも、管理費などを払っていることになることを考えると、コスパ的にも60㎡はちょうどいいでしょう」

また、陥りがちな例として「予算内で広い部屋を求めて、どんどん利便性の悪いエリアに流れてしまう」と後藤さんは指摘する。

「広さばかりを優先すると、予算の関係で結果的に資産性の低い物件を選んでしまうこともあります。60㎡であれば、駅近くや都心・準都心で資産性が下がりづらい物件が買いやすい。売り・貸ししやすい上に、自身の利便性も高い部屋を見つける可能性が高いと言えます」

理由4【税制メリット】「登記面積50㎡未満」は住宅ローン控除対象外

見落としてはいけないのが、税制面でのメリットだ。「一人暮らしで、子どももいなので60㎡の広さは不要」と考えるのは早い。というのも、住宅ローン控除や登記時の登録免許税、贈与税の軽減等の恩恵が受けられるのは「登記面積50㎡以上」だからだ。

「例えば住宅ローン控除です。売主が個人の中古住宅の場合では年末借入金残高の0.7%が10年にわたって控除されますが、登記面積50㎡未満の物件は控除の対象外です。借入額や年収によって異なりますが、認定住宅などではない場合、最大140万円もの差がつきます」

コロナ禍にマンション価格の高騰…買うべき判断は「タイミング」

コロナ禍でマンション価格が高騰し、購入に躊躇している人も少なくない。いつ買うのが、ベストなのか。

「たしかにテレワークやリモートワークによって、部屋の狭さを感じて転居を考える人はいます。中には地方への移住の相談もありますが、知らない土地に何千万円もの買い物をする人は多くありません。まずは“今の状況がこの先何十年も続くかどうか”を冷静に見極めてください」

目先の現状だけを優先しても、ローンは今後数十年払い続けなければならない。「時事的な視点」だけでなく「不変的な視点」も必要だという。その上で、本当に必要な物件を検討するといい。買い時については「タイミングが重要」と後藤さん。

「現在は金利が低い分、価格は非常に高騰しています。金利が下がると価格は上がり、逆に金利が上がると価格は下がるといった関係があるためです。長期的な視点で考えると、単純にどちらが得とは言いきれません。ただ、結婚やお子さまの入学など、自身で今と思えるタイミングでいい物件に出会えたのであれば、そのタイミングが買い時です。この先の情勢がどう変わるかは誰にもわかりません。“価格が高いから”“金利がよくないから”と後回しにするばかりでは、投資機会の損失になりかねません」

タイミングが合えば、価格が適切かどうかを見極めることも大切だ。

「現在のような金融緩和からの資産価格上昇局面においては、マンション価格も上がるのは当然です。逆に価格が変わらない、下がっている物件は注意です。資産価値が保たれる物件ではない可能性があります。また上がっている場合も上昇幅が適正かどうかを確認してください。周辺物件の似た物件の価格相場や、不動産価格指数を見るとおおよそ見当がつくと思います。人任せにせず、自分で調べて判断することが大切です」


お話を伺ったのは●後藤一仁さん

ごとう・かずひと/不動産コンサルタント、株式会社フェスタコーポレーション代表取締役社長。1965年神奈川県生まれ。大手不動産会社のハウジングアドバイザー、東証一部上場企業連結不動産会社の取締役を経て、2002年に株式会社フェスタコーポレーションを立ち上げ、代表取締役に就任。「不動産を通じて、世の中の一人でも多くの人を幸せにすること」をミッションに掲げ、専門家として、テレビ、雑誌、書籍、ウェブなどあらゆるメディアで活躍中。主な著書に『マンションを買うなら60㎡にしなさい』(ダイヤモンド社)、『東京で家を買うなら』(自由国民社)。
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