イベントアフターレポート
料理の成り立ちを知れば、より美味しくなる
「サワディー・カー(こんにちは)!」
この日、講師を務めたタイ料理研究家・長澤恵(May)さんのタイ語の挨拶でイベントはスタートしました。タイビールやワイン、カクテルなど、お好きなドリンクで乾杯! まずはタイ料理の歴史をお話いただきます。
タイ料理は、長い歴史の中で王朝文化や周辺諸国との関わりを通じて発展してきました。ラーマ1世がチャクリー王朝を開いた18世紀に宮廷料理が確立。さらに、インド由来のスパイス・カレー文化や、中国から伝わった華僑の食文化など、さまざまな食の要素が融合し、奥行きのある美味しさを生み出しているのです。

五つの味覚とハーブの香りが織りなす味のハーモニー
歴史を学んだあとは、いよいよディナータイムです。この日のメニューは、長澤先生とサイアムヘリテイジ東京が、この日のために考えた特別メニューを含め、前菜からデザートまで全8品です。
タイ料理の魅力は、甘味・辛味・酸味・塩味・旨味という五つの味覚と、ふんだんに使われるハーブの豊かな香りが織りなす絶妙なハーモニーにあります。料理をより楽しむためにはコツがあると、長澤さんは話します。
「それが『口中調理』という食べ方です。例えば、前菜の『センワー・クン』という料理があります。これはエビのセビーチェとナマズのほぐし身揚げを野菜に添えた一品ですが、別々に食べるよりも一緒に口に入れることで、エビの爽やかな味わいとサクサクしたナマズフレークが口の中で混ざり合い、料理がより美味しく変化するのです」
長澤さんの言葉通り、一緒に食べると美味しさが何倍にも広がります。「口中調理」は、タイ料理を楽しむための大事なキーワードのようです。



タイ直送食材と伝統調理法が生む特別なメニュー
シェフによれば、この日の料理はタイからの調味料と日本の旬の食材を使い、伝統的な調理法で仕上げられたもの。揚げピーナッツや揚げニンニク、エシャロットをたっぷり使った「伝統ヤムウンセン」や、チャクリー王朝の宮廷料理でもある皮付き豚三枚肉と空芯菜の甘酸っぱいカレー「ゲーン・ムーテーポー」など、特別メニューが次々と登場しました。


タイ料理が大好きで普段からよく食べに行くというY・S様(50代)は「いつも食べているタイ料理とは違っていて、初めての味ばかり。タイ料理は奥深いなあと改めて感じました」と新たな美味しさに満足のご様子。
また、お友達と一緒に参加されたT・M様(50代)は、ディップソースに茹で野菜を添えた「ナムプリック・ロンルア」がお気に入りで、「ディップソースが持ち帰りたいくらい美味しかった。こんな素敵なイベントに当選して本当に嬉しい」と笑顔で語ってくださいました。


辛味と酸味が調和した、ハーブ香るクリアなトムヤムクン
最後を飾ったのは、タイ料理を代表する「トムヤムクン」。
トムヤムクンには、ココナッツミルクを加えたまろやかで濃厚な「ナムコン」と、辛味と酸味にハーブを効かせた「ナムサイ」の二種類があり、この日登場したのは、現地タイでよく食べられている「ナムサイ」でした。
レモングラスやライムなどの生ハーブが香る透き通ったスープは、爽やかさの中にピリッとした辛さが広がり、暑い夏にぴったりの一品。

そして、デザートとハーブティーをいただき、イベントは終演へ。ハーブの香りと心地よい酸味に包まれ、タイ料理の奥深さはもちろん、まるで現地で食事をしているような異国情緒も楽しめる特別なひとときとなりました。

- 本記事の内容は2025年10月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。