イベントアフターレポート
日本酒の奥深い世界に興味津々
まずは、イベントの講師を務めた日本酒のソムリエ、加藤栄二さん(SSI認定国際唎酒師)によるレクチャーからスタート。精米から仕込みを経て貯蔵されるまでの伝統的な酒造りがわかりやすく語られます。

日本酒づくりは杜氏を長に職人のチーム力が何より大事なこと、昔は女性の仕事でしたが力が必要なため徐々に男性の仕事となっていったことなど、日本酒にまつわる奥深い話に耳を傾けながら、日本酒への期待がどんどん膨らんでいきます。

日本酒の多様性を味わえる4種類の地酒
そして、いよいよお待ちかねの試飲タイム。この日用意されたのは、加藤さんがセレクトした4種類のとっておきの地酒です。

「七賢(しちけん)」(山梨県・山梨銘醸)
日本名水百選にも選ばれた、南アルプスの伏流水を仕込み水として作られたキレのあるすっきりした味わいの生酒。「TERA Life is good!」(岐阜県・林本店)
アルコール分は通常の日本酒の約半分の8%。華やかでやわらかい甘さと、しっかりした酸味が特徴。新感覚の純米酒として人気。「にいだしぜんしゅ にごり」(福島県・二井田本家)
自社が管理する農地で農薬・化学肥料を一切使用せず栽培した米を使用。まったりと濃密なにごり酒で、冷酒でもお燗でも。「七田(しちだ)」(佐賀県・天山酒造)
春に一度火入れをし、ひと夏熟成させた純米酒。熟したブドウのような香りとまろやかな甘みが特徴。「日本酒の多様性を感じていただきたく、米を原料にまったく違う味ができあがることが感じられるものを選びました」と加藤さん。その言葉通り、キリリとした飲み口の生酒から酸味の効いたモダンな味わいの純米酒まで、どの日本酒も個性が際立っています。
季節をテーマにしたお料理を堪能
今回のイベントのもうひとつの主役がお料理です。この日、「春と香り」をテーマに用意されたのは、フキノトウとタケノコのフリット、サワラの山椒焼き、旬のサクラエビと三つ葉の和え物など季節を感じられるものばかり。

4種類の日本酒の中で「七賢が一番気に入りました」というのは埼玉県から参加されたE様ご夫妻。「すっきりしていて飲みやすい。料理にも合いますね。両親が福島出身ですが、福島はおいしいお酒が多いんですよ。私は純米が好きで、家でもよく飲んでいます」


さすが日本酒好きの皆さまとあって、あちこちで加藤さんへ質問が飛び交います。50年来のご友人を誘い参加された70代のY・N様もそのひとり。
「なるほど〜と思う興味深い話がたくさん聞けて面白かったです。まだまだ聞きたいと思ったくらい。お酒はいろいろ飲みますが、やっぱり日本酒が一番好き。どんな料理にも合うのがいいところですね」


Y・N様のこの日の一番は七田で「こってりした味わいが気に入りました」。お気に入りの銘柄がひとつ増えたようです。
ちなみに、この七田は講師の加藤さんも一番好きな味だそうです。
「じっくり熟成された野生的な味が気に入っています。づけの刺身や煮物、焼き鳥などとの相性は抜群です」
とはいえ、他の日本酒それぞれにも愛着があります。
「七賢は生酒のフレッシュ感が魅力で、おそらく誰にとっても飲みやすいお酒だと思います。TERA Life is good!は酸味の強さが特徴。炭酸で割るとレモネードに似た味わいで、きょうのメニューにある柿やクリームチーズとのペアリングがおすすめです。唯一のにごり酒、にいだしぜんしゅ にごりは、実は熱燗にすると甘みが増し、栗のような味わいに変化するんです。にごり酒を熱燗にするというのは、あまり馴染みがないかもしれませんが、ぜひ試してみてください」
ほろ酔いの会場は和やかな空気に包まれて
会の終盤では、加藤さんからお酒にまつわるクイズが出題されました。
一例を紹介しましょう。お酒好きな人を「左利き」という言葉で表現されることがありますが、その理由は何でしょうか? 次の3つから選んでください。
A:左手で徳利を、右手でお猪口を持つことから
B:大工さんが木を削る時に左手でノミを持つことから
C:酔っ払うと右手と左手がわからなくなるから
いかがですか? 答えはBの「大工さんが左手にノミを持つことから」。つまり「飲み」と「ノミ」をかけているというわけです。ほかにも、日本酒の「冷や」とは、「冷やした酒」ではなく「常温の酒」を指すなど、お酒の豆知識を問うクイズに、当たった人も外れた人も笑い合い、会場は和やかな雰囲気に包まれていきます。


楽しい時間はあっという間に過ぎていき「皆さんが楽しく飲んでくださって、とても嬉しいです」と加藤さん。春の訪れが感じられたこの日、会場には皆さまのくつろいだ笑顔の余韻が残りました。
- 本記事の内容は2025年5月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。