
お話を聞いた人●KEYUCA開発業務部 茂野 真幸さん
KEYUCA開発業務部 商品開発グループリーダー。
ソファの製品化などを含め、自らも家具やカーテンなどの開発・企画・設計をしながらデザインチームを取りまとめる。
細分化されたこだわりに応えるアイテムが売れている
大手の家具店やインテリアショップは軒並み、前年比の売上げがアップ。KAWAJUNが運営するインテリアショップのKEYUCAでプロダクトデザインを手掛ける商品開発グループリーダーの茂野真幸さんはこう語る。
「普段使いの雑貨、キッチン用品などから、大型家具まで販売は好調です。皆さん、おうち時間が増えたからこそ、ふだん使っているアイテムのちょっと不便なところ、不満なところが気になってきているのではないでしょうか。例えば、ダストボックスの蓋が閉まる音がうるさいとか。そのマイナス面がない機能的なものに買い換える傾向があるようです」
こだわりのステンレスボトルやステンレスマグが売れ筋なのも、最近のトレンドのひとつだ。
「ステンレスボトルの開発時、丈夫で凹みにくく、かつ軽いというラインを目指し、二重構造であるボトルの内側と外側の厚みを変えています。内側は薄く、外は0.3~0.35cm程度でそれもボトルの太さに適した厚さを研究しました。かばんに入るようなスリムタイプはすでにありましたが、もっと容量の小さい110mlからサイズ展開し、使う人の選択肢を広げたいと思いました。110mlというと、ポーチに入る大きさでもあり、服薬にも丁度良いというニーズもあるのではないかと」(茂野さん)
自宅でリモートワーク中、飲み物が冷めにくいステンレスマグの人気も高まっている。
「機能とデザイン性を両立させ、さらにコストもリーズナブルでないと、商品化しません。私たち開発者も『自分たちが消費者の立場になったとき、購入できる金額か』という生活者感覚は常に忘れないようにしています」(茂野さん)

家族それぞれでカスタマイズできるチェア
自宅で過ごす時間が長くなれば、インテリアのデザイン性も使い心地もどちらも気になってくる。KEYUCAではクッションから椅子の座面、ソファのカバーまで、いずれも150種類のファブリックから選べる。例えば、新商品のダイニングチェア(木製)は、材質がオークかウォルナットで本体のデザインは決まっているが、座面のカバーについては布かソフトレザーか、またどの色柄にするかを選べる。その組み合わせによる何百種類の選択肢の中から自分だけの椅子をカスタマイズできる。その自由度が、いまの消費者のニーズにマッチしている。


「椅子ひとつでも、座面の高さや深さ、背面の大きさ高さ、肘置きのあるなしなどで、人が快適と思う座り心地は変わってきます。例えば家族がそれぞれ好きなようにカスタマイズして自分にぴったりのチェアをオーダーし、それらをひとつのダイニングテーブルにセットするということもできます」(茂野さん)
お父さんは座面の広いもの、お母さんはクッションの柔らかいもの、子供たちは座面の浅いもの、おじいちゃんおばあちゃんは立ち上がりの楽なものなど、それぞれ別の椅子を選べる。ダイニングテーブルとセット販売されるチェアが“快適の平均値”に合わせて作ったものなら、カスタマイズできるチェアは人それぞれの“最適解”ともいえる。
KEYUCAでは、ソファも座面、背面の素材をフェザー、ウレタン、モールドという3種類から選べる。モールドは、フェザーとウレタンの中間のようなクッションで、フェザーの柔らかい感触やウレタンの反発性を“いいとこ取り”した座り心地が人気だ。ロングソファやコーナーソファでひとつひとつの座面、背面を変え、家族ひとりひとりの指定席を作ることもできる。


忙しくても快適な生活をサポートする家具を
「少し前から“ていねいな暮らし”というものが提唱されるようになり、もちろんそれは素晴らしいことですが、あまり“ていねい”にこだわりすぎると、生活していく上で疲れてしまいます。私たちは、仕事などが忙しい人も楽をして快適な生活を送れるような家具を作っていきたい。長く使って、ご両親にもおすすめできるようなものが理想です。それが結果的に家具の廃棄などの無駄を減らし、今、社会に求められている“サステナブルな暮らし”につながっていくと考えています」(茂野さん)
安価で購入した家具が、すぐに壊れてしまい後悔したり、デザインにときめきを感じなかったりする場合も多い。価格と機能性、デザイン性のバランスをよく見た上で、必要なら、自分好みにジャストフィットするようにをセミオーダーする。その自由度が、これからのインテリア選びのスタンダードになりそうだ。
- 開催商品は、2021年2月現在のものです。価格および仕様は予告なく変更または、廃盤になることがあります。
KEYUCA 箱崎エアターミナル店
東京都中央区日本橋箱崎町42-1 東京シティ・エアターミナル 1F
電話:03-5643-7831
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小田慶子=文 市来朋久=撮影