川沿いに伸びる水辺の散歩道

門前仲町駅から歩いて10分ほど。賑やかな商店街や住宅地を抜けて木場親水公園に着くと、そこには江戸風情たっぷりの景色が広がっていた。
和船や木の橋。この辺りは江戸時代に木材問屋として栄えた地で、川沿いに伸びる公園は、当時の木場の風景をテーマに整備されたものである。
橋の上に立つと、空が開けた風景が広がり、深呼吸をしたくなる。
木場親水公園は、水辺の風景が目に涼やかで、川沿いには一休みできるベンチがある住民たちの憩いの場所だ。園内では、通学や帰宅途中の子どもたちの笑い声や散歩中の犬の姿、カモやカワウなどの野鳥の姿に心が和む。


子育て世代にもやさしい公園直結のベーカリーカフェ

歩き疲れたら、深川不動堂抜けて深川公園に直結するベーカリーカフェ『みらいのテーブル門前仲町』へ。
表参道を中心に展開する話題のベーカリーカフェ『パンとエスプレッソと』と、東京都を中心に保育所を運営する『さくらさくみらい』がタッグを組んで、2023年1月に開店。地域に根差すことを目指し、子どもと子育て世代を支援するカフェとして誕生した。
ゆったりと席を配した店内では、パソコンワークをする人もいれば、親子でゆっくり過ごす姿も。エントランスから席までのアプローチは、洞窟風の通路になっていたり、パン製造の様子が見える小窓や、子どもが通れる小さなトンネルを設置し、その先には公園に面したテラス席が用意されているなど、子どもや親にとっても楽しい仕掛けが施されている。トイレにはおむつ交換台を完備、キッズチェアの用意はもちろん、ベビーカーでも入店できるのもうれしい限りだ。
人気のフレンチトーストは、『パンとエスプレッソと』の看板商品といえる食パン「ムー」を使ったもの。アパレイユ(液状の生地)にしっかり浸け込み、しっとりした食感と濃厚な味わいが特徴だ。


職人の技が集結するギャラリーで門前仲町の深みを知る

ベーカリーカフェからほど近く、富岡八幡宮の大きな鳥居の脇に工芸品を扱うギャラリーを発見。
こちら『季華』は、この地の風土と歴史に育まれてきた伝統工芸品を扱うギャラリー&ショップだ。
江戸切子、東京無地染、茶の湯指物、江戸表具、貴金属の金工といったジャンルの無形文化財を含む9人の職人の作品を販売する。
店主の小堀悦子さんは言う。
「現在江東区には30人ほどの職人の方がいらっしゃいます。もともとは主人が伝統工芸の存続が危ぶまれるなか、地元の工芸士を応援したいとの想いでこのギャラリーを開きました。お客様からは『異なるジャンルの工芸品が集結して展示販売している店は少ないのでうれしい』という声をいただいています。職人さんも四季折々の作品も持ってきてくださるので、気楽に覗いてみてください」
店内には現代のライフスタイルにもマッチするデザインにしたり、日常生活が豊かになるような作品が揃う。暮らしに合わせて柔軟に、多様に新しいものを受け入れる門前仲町という街の横顔が見えたようである。



今回紹介したスポット
『木場親水公園』
東京都江東区木場3-18
『みらいのテーブル 門前仲町』
東京都江東区富岡1-14-5
TEL:03-5809-9039
営業時間:9時~17時、土曜・日曜・祝日8時30分~17時
休:水曜、木曜
https://www.instagram.com/mirainotable_monnaka/
『深川・江戸 伝統工芸品ギャラリー&ショップ 季華』
東京都江東区富岡1-23-13
TEL:03-6458-5184
営業時間:10時30分~17時30分
休:火曜(富岡八幡宮の祭事がある時、火曜が祝日の時は、翌水曜休み)
https://www.kika-fukagawa.jp/
取材・文●沼 由美子 撮影●オカダ タカオ(2024年10月掲載)
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