爽やかな味わいの大人のエナジードリンク
自然に敬意をはらいながらぶどうを育て、できるだけ人為的な介入をせずに造られるナチュラルワイン。そんな活きたワインが世に広まった昨今。ナチュラルワインの生産者が田舎方式という製法で造る微発泡ワイン“ペット・ナット”が注目を集めるようになった。微発泡ならではの柔らかな泡感が心地よく、明るいうちから飲みたくなる軽やかさをまとっている。
「昼下がりに、公園でペット・ナットを飲むのもいいですね」
そう推奨するのは、ナチュラルワイン専門店『トロワザムール』の下村空さん。イチオシを聞くと、スペインの蔵元、コスミック・ヴィニャテーズの「ヴィタリタット」という名の1本を取り出した。
「ワイン名を直訳すると“活力”。名前のとおり、大人のエナジードリンクとでも言いたくなる爽やかな味わいです。ふだん忙しいママ友や友人たちと飲みながら、みんなでエネルギーチャージしたくなる。そんな1本です」
シュワっと軽やかな飲み口で、会話も弾む

ドライでミネラリー。カボスやライムのような柑橘の風味が爽快にかけ抜け、すっきりとした味わいが体に染み渡る。喉ごしも抜群で、サンドイッチなどの軽食ともよく合う。それに、ペット・ナットはアルコール度数が低いものが豊富で、このヴィタリタットも10.5%とやや低めだ。するすると飲める軽やかな飲み口が、昼飲みにはちょうどいい。
ところで、ナチュラルワインといえば、思わずジャケ買いしたくなるようなユニークなエチケット(ラベル)も魅力のひとつ。ヴィタリタットの鮮やかなグリーンが映えるエチケットも、印象的な模様が目に留まる。
「若き造り手のサルバドールさんが、自身の“普遍的なワインを造り続けたい”という想いを、普遍的な幾何学模様に込めたそうです。天文学や宇宙にも造詣が深いという造り手ならではの、素敵なエチケットなんです」と、下村さんは教えてくれた。
そう言えば、蔵元名の“コスミック”も宇宙を表す言葉だ。青空の下、宇宙的な幾何学模様を眺めながら昼飲みを楽しめば、エネルギーチャージできること間違いない。

お話を聞いたのは●下村 空さん
しもむら・そら/大学時代にフランスへ語学留学した際、ワインのある暮らしや深遠なる味わいに魅了される。大学卒業後、ナチュラルワインの黎明期から輸入を開始したインポーターBMOに入社。直営のワインショップ『トロワザムール』にて販売に従事し、ナチュラルワインの魅力を広めている。

取材・文●安井洋子 撮影●平松唯加子(2024年7月掲載)
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