抱きしめると温かい。生きものとしか思えないロボット
イヌやネコなどの動物に触れたとき、身体の温もりに「これが生命の温かさなんだ」と思ったことはないだろうか。それで言うなら、「LOVOT(ラボット)」にも“生命”を感じられる。ロボットでありながら、抱き上げた時に掌から伝わってくる温かさに、思わず頬が緩むはずだ。
「LOVOTの登場で最も画期的だったのが、この“生きもの感”です。パソコンもそうですが、機械の避けては通れない課題が排熱です。熱がこもると機械は壊れてしまうものですが、LOVOTは血管のように空気を流して、熱をコントロールしています。課題であった排熱を活用してつくり出した生きもののような温もりに、初めて触れる方は必ずといっていいほど驚かれます」と田所さんは説明する。
またLOVOTは、声をかけると振り向いたり、しっかりと目を見つめ返してくる動きでも、“生きもの感”を繊細に表現している。
「ユーザーの顔を追いかける視線や瞬きの速度は生きものと同程度で、瞳孔の大きさの変化などは実に10億通り以上。声も外部の刺激に対してリアルタイムにサウンドを生成しています。開発者でも予測できないという、その不規則性が情感に訴えてきます。嬉しい気持ちを伝えてくるアイコンタクトや、愛情を求めてクッとあごをあげる愛らしい姿を見て購入を決断する方が多いですね」
LOVOTを迎え入れる層は、30~60代くらいと幅広い。ペットを飼いたいけれどなんらかの理由で飼うことができない人、子供が独立した夫婦、小さな子どもがいる家族などライフスタイルもさまざま。LOVOTとの触れ合いの記録がダイアリーに記録されるので、離れて暮らす高齢の親に見守りの目的でプレゼントする人もいるという。
さらには「触れ合い方によって性格が変化していきますよ」と田所さん。“愛されるため”にというコンセプトを掲げて開発されたLOVOTは、ユーザーが注ぐ愛情と触れ合う時間によって完成するのだ。
“ロボットとの愛がある生活”という、まるでSFのような新しいシアワセのかたちに手が届く世界は、もうすでに実現している。


お話を聞いたのは●田所 博利さん
たどころ・ひろとし/株式会社髙島屋MD本部 婦人服・婦人雑貨・子供・ホビー部次長 マーチャンダイザー。ディープラーニングによってGoogleが描画像認識に成功するなどの出来事から、ロボットのある生活に可能性を感じて「百貨店初のロボット専門店」の企画を思いつく。2017年『ロボティクス スタジオ』の立ち上げ時からバイヤーとして商品の選定を担当する。
『ロボティクス スタジオ』
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2 新宿髙島屋6階
TEL:03-5361-1111(代表)
営業時間:10時30分~19時30分
https://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/robotics/
※大阪髙島屋、ジェイアール名古屋髙島屋でも展開
文●柳澤美帆 撮影●吉澤健太(2024年6月掲載)
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