寒さに強く、色も鮮やかな「葉牡丹(ハボタン)」。お庭を華やかに演出しアレンジにも大活躍します。葉牡丹の育てかたからお正月の後まで使えるアレンジ方法をご紹介いたします。
葉牡丹とは?
アブラナ科の植物で、11月~3月頃まで楽しめる、初心者の方にも育てやすい多年草の植物です。葉牡丹はキャベツと同種ですが、キャベツは葉が重なり合って球状に結球するのに対して、葉牡丹はサニーレタスのように、葉は重なり合っても球状にはならない非結球であるという点で異なります。したがって葉牡丹は、メキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、コールラビー、ケールなどと近縁の植物です。葉牡丹やキャベツの原種は地中海沿岸原産のケール(和名はハゴロモカンラン、英名はKale)といわれています。ケールは葉全体が縮れた非結球性の野菜です。一年中栽培でき、葉は栄養豊富で、特にビタミン類の含有量は緑黄色野菜の中で最も多く、料理にも用いられますが、主として青汁用に栽培されています。
葉牡丹の原型はケールを基本としてヨーロッパで作出されたと考えられますが、ヨーロッパでは観賞用ではなくキャベツなど野菜としての品種改良に力が注がれたようです。日本では江戸時代から鑑賞用の品種改良が進み、冬でも彩りを楽しめる貴重な植物として親しまれて来ました。現在では大きく分けて4つの系統があります。

<系統>
◆東京丸葉系
江戸時代からある古い系統の種類で、真上から見ると真円に近く、全体的に丸味を帯びたなめらかな葉が特徴です。江戸葉牡丹とも呼ばれています。

◆名古屋ちりめん系
葉の先がギザギザになった縮葉ケールと掛け合わせてつくられた系統の種類で、葉の縁が細かくフリル状になっています。根の生長がやや弱いため、大株の移植は難しいので花壇への列植には適しません。

◆大阪丸葉系
丸葉系とちりめん系を交配させた系統で、葉の縁にやわらかなウェーブが特徴です。葉の発色が良いことから広く利用されています。

◆サンゴ系
ロシアのケールを基に交配させた系統で、葉に細かく深い切れ込みが入っています。その名の通りサンゴのような見た目は他の系統とは一線を画します。花を咲かせるのが遅いので長期間鑑賞できます。

≪葉牡丹の花言葉≫
利益、慈愛、物事に動じない、祝福、愛を包むといった、新しい時にもふさわしい晴れやかな言葉ですね。
葉牡丹を育ててみましょう
苗を購入するときのポイント
色づいた苗は10月頃から出回ります。元気の良い葉牡丹の苗を選ぶポイントは根の張り具合が重要ですが、見た目では以下の点に注目して選びましょう。
- ◆葉の数が多いもの
- ◆葉の巻き具合がしっかりとしているもの
- ◆発色の良いもの

植え付け
植え付けの適期は地域にもよりますが10月~12月です。黄色になった葉などは取り除き、根鉢を崩さずポットから抜きます。水はけのよい用土で一回り大きな鉢に植え付けましょう。
数株まとめて植えるなら、葉と葉が触れるくらいに大きめのコンテナに密植し、株の頭(高さ)を揃えるようにすると見栄えがします。植え付けが終わったら、たっぷりと水を与えましょう。

用土
水はけと水もちのよい、有機質に富んだ土が理想です。市販の草花用培養土と腐葉土などを混ぜてあげるとよいでしょう。肥料は必要ありません。
水やり
土の表面が乾燥してきたら与えるようにしましょう。
寒い時期の水やりは午前中に行い、夕方以降はできるだけ控えましょう。また冬の乾燥期には葉水も必要なので、暖かい日を選んで葉全体に水をかけるようにしてください。
日当たり
葉が色づき始めた頃は、強い日光に長時間当てると色づきが悪くなることがありますが、冬の間はあまり気にせず屋外の日当たりの良いところで育てましょう。
その他のポイント
葉牡丹は寒さに強い植物ですが、葉が凍ると傷みがでるので、夜間は霜よけをするか軒下などに移動させましょう。下葉は腐りやすいのでこまめに取り除きましょう。

種から育てる場合
◆種まき
7月下旬から8月上旬が最適です。
- 小さ目のビニールポットやセルトレイに1~2粒ずつ植え付けます。
- 真夏は気温が高くなりすぎるので、日陰で風通しの良いところに置きましょう。
- 発芽するまでは表面が乾かない程度に水を与えましょう。
- 芽が生えそろったら元気の良い苗を1本残し、他は根を傷めないよう茎からカットし間引きます。
植え替え
種まきから3~4週間程度、本葉が3枚ほどになったら植え替えのタイミングです。
- 適度に日当たりの良い場所を選びましょう。
- 根を成長させるため、30cm以上間隔をあけて植えましょう。
- 茎がまっすぐ立つようにしましょう。
[POINT]
- 種をまいてから2、3日で発芽しますが、小苗は害虫の大好物のため防虫対策をしてあげましょう。
- 水をあげすぎるとヒョロヒョロの苗になってしまうので、水のやり過ぎに注意してください。
- 植え替える際にしっかり肥料を与えてください。ただし窒素分が多いと緑色が濃くなり赤や白の発色が悪くなるので、10月以降は肥料を控えることが美しく着色させるポイントです。

葉牡丹を育ててみましょう
冬の植物と組み合わせて彩り豊かな寄せ植えづくり
寄せ植えに必要なもの
- 培養土
- プランター
- 軽石
- 手袋
- スコップ
- ネット

(1)春先まで楽しめる白い寄せ植え
<用意する植物>

白い葉牡丹
東京丸葉系 x 2 さんご系 x 2

(左上から)シルバーレース、オカメヅタ、コクリュウ、シクラメン
(左下から)モクビャッコウ、シロタエギク、アリッサム
<手順とポイント>
1.軽石をネットに入れホッチキスで止めます。本来の水はけ機能はもちろんのこと、植え替えや土を入れ替えるときにも土と軽石が混ざらないため、再利用に便利なテクニックです。

2.土をプランターの半分くらいまで入れます。
【POINT】
根が軽石にあたると痛む原因になるので、最初に入れる土の量は軽石が見えなくなるまで入れましょう。土は肥料が予め混ぜ合わせてある培養土がおすすめです。葉牡丹の性質上、冬期に追肥の必要はありません。

3.プラケースに入ったままの状態で、プランターの中に並べて配色や全体のバランスを決めましょう。今回は円形のプランターを使用するので、様々な角度から見ても表情が楽しめるようにしましょう。
【POINT】
真ん中に背の高い植物を、周りに背の低い植物を配置していくと、プランターのどの角度から見ても絵になる寄せ植えができます。また葉や花が垂れ下がるように育つものは、プランターの端に植えると他の植物の成長を妨げず、見た目にもきれいになります。

4.配置が決まったら、苗をとりだし植えていきます。根を軽くほぐし、根を張りやすい状態にしてあげましょう。

5.プランターの中心から寄せ植えを始めます。背の高い者から順に周囲をうめていくと、高さのバランスが整い美しい配置でつくりやすくなります。

6.土を植物の根元へこまめに足していきながら、残りの植物も植え替えたら完成です。
白で統一された上品な雰囲気の寄せ植えです。白くてかわいい小さな葉牡丹と、ダークなコクリュウの対比が目を楽しませてくれます。

(2)葉牡丹が主役の華やかな寄せ植え
<用意する植物>

赤い葉牡丹 東京丸葉系 x 2
名古屋ちりめん系
大阪丸葉系 x 2

コルジリネ
<手順とポイント>
1.軽石をネットに入れホッチキスで止めます。

2.土をプランターの半分くらいまで入れます。

3.プランターに並べてみて、全体のバランスをみながら配置を決めます。
【POINT】
壁際に設置する寄せ植えの場合、前側と後ろ側を決めてから配置してみましょう。

4.配置が決まったら、後ろ側から背の高い植物を植えていきます。一番背の高い植物の位置を決めてから寄せ植えを始めると、全体のバランスを美しく保つことができます。

5.植物の背の高さが大きく異なるときは、土を植物の根元にこまめに足していき、土の上から出る部分の高さを調整しながら丁寧に植えていきましょう。

背の高いコルジリネがアクセントになっている赤系葉牡丹の寄せ植えです。大小種類の違う葉牡丹でも色を揃えるとまとまりが出て、落ち着いた素敵な寄せ植えに仕上がりました。
