マンションの防災

いつ、どこで、起こるかわからない災害への備え―防災を考える

「自分のマンションにどんな災害の備えがあるか知っていますか?」―――防災を考える上で必要とされるのは「備えを知り、いざという時に動ける」ことが一番大切なのではないでしょうか。

防災を身近なものとして、いつも考えたい

関東大震災から始まった災害対策

「街とつながるレジデンスパーティ」防災講座

三菱地所のレジデンスクラブは、防災をテーマに、いざという時に連携が希薄になりがちなマンションと地域をつなぐためのコミュニティプログラム「街とつながるレジデンスパーティ」を、これまで複数の地域で実施しています。また、「マンションに住むなら~知っておきたい マンションの防災力~」といったイベントも開催しました。災害対策や防災訓練に取り組むという考えは、もともと、三菱地所グループが、1923年(大正12年)に発生した関東大震災の際に、旧丸ビルやその周辺で飲料水の提供や炊き出し、臨時の診療所の開設などを行ったことに端を発します。丸の内が救護拠点として機能した過去の歴史から、防災スピリッツとしていまに受け継がれてきています。

関東大震災時の「三菱臨時診療所」

地震、台風、豪雪、豪雨など日本で発生しうる様々な災害を考慮して、災害対策は欠かすことができないものとして、集合住宅においても建物の耐震性や安全性に配慮し設計・施工を行っています。でも、防災は、災害が起きた後、そこに住むみなさまがどのように備え、行動できるのかがとても重要です。そこで、今回の記事企画「防災を考える」では、防災を身近なものと考えていただくキッカケとなるようなお話をいくつかご紹介させていただきます。

災害への備えはできていますか?

「使ってみる」という「体験」も大事な備え

災害への備え――。「天災は忘れたころにやってくる」という言葉がありますが、本来、災害に流行り廃(すた)りがあってはならないはずなのに、時間の経過とともに「大丈夫だろう…」と、つい、備えを怠りがちになっていませんか。懐中電灯やラジオ、水や食料など備蓄品があるというだけではなく、備えにおいては、「使ってみる」という「体験」が大切です。

地域やマンションで「防災訓練」があった際、参加された経験はあるでしょうか?下の図にもあるように、東日本大震災後の調査において「防災訓練」に参加したことがあると答えた人は、39.2%。いまだ過半数に満たないというのが実態です。では、「防災訓練」では、何を教えてくれるのでしょうか?行政区や、マンション、町内会などの主体者による要請内容によって詳細は異なりますが、ポイントは「防災において何が大切かを知る」「災害時に自らが取るべき行動を知る」「災害時を想定した実践的な体験ができる」の3つです。

出典:「防災に関する世論調査」平成26年2月 内閣府政府広報室

「防災訓練」で学ぶ、3つのポイント

マンション住民、みんなで参加してほしい

【防災において何が大切かを知る】

<ザ・パークハウス 津田沼奏の杜>での避難訓練の様子

建物や人、ライフラインの被害や復旧など、お住まいの行政区の想定を知ることで暮らしへの影響を考えることからはじまります。災害発生時に避難所がどこにあって、物資や水の配給を受ける防災拠点はどこか、いつ避難すればよいのか。こうした情報も、建物倒壊危険度や火災危険度などの地域特性やお住まいのマンションによっても異なります。備えのための基本知識として知っておきましょう。

【災害時に自らが取るべき行動を知る】

丸の内での防災訓練の様子

現在のマンションは、セキュリティが優れているため、外部の救援の人が入ることが難しい状況にあります。災害発生時に、ケガ人がいないかなどマンション内で共助するためにも防災訓練の場を通じコミュニティを広げておく機会として活用しましょう。またザ・パークハウスの防災プログラムでは、発災期、被災生活期、復旧期などのフェーズにそってどのような活動が必要かをマニュアル化したマンションごとの「防災計画書」を作成しております。お住まいのマンションに「防災計画書」があるのか?どんな内容なのかも知っておくとよいでしょう。

【災害時を想定した実践的な体験ができる】

左:マンホールトイレの組み立て訓練、右:バルコニー隔て板蹴破り訓練

防災訓練では、行政や消防との連携によって避難訓練、AED訓練、起震車(地震の揺れ)体験、消防訓練など様々な体験型の内容をプログラムすることが可能です。取材したあるマンションでは「トイレ」の訓練を行っていました。これまでの災害でも「トイレ」が不自由な環境になり、食糧や水を我慢して体調を崩す方が多くいらっしゃいました。マンションによっては「凝固剤」や「マンホールトイレ」を防災備品として用意してあるケースもありますが、いざ使ったり、組み立てたりとなると…。こうした訓練の機会に触れることは大切です。「いつ」起こるかわからないからこそ、使ってみた体験が活かされるのです。今年の防災訓練に、参加してみてはいかがですか?

東日本大震災の被災地の声を届ける「そなえるカルタ」

エピソードから、防災を考える

防災啓発の取り組み「そなえるカルタ」。2015年度グッドデザイン賞を受賞

東日本大震災の後、被災地の声を届ける防災ツールとして、三菱地所レジデンスが作成した「そなえるカルタ」についてご紹介します。トイレや食糧、水などで具体的にどのように困ったのか。ゴミや衛生面での問題。避難所の様子。近隣住民の力が救った多くの命。被災地の生活者の声を知ることで、危機感をもち、防災に関し「我が事」と考えて行動へ繋がるようにと考えられたツールです。