
ナビゲーター 水越 美枝子
みずこし・みえこ●一級建築士事務所アトリエサラ共同主宰。新築・リフォームの住宅設計から収納計画まで、トータルで住まいづくりを提案。著書に『人生が変わるリフォームの教科書』など。
- 掲載している写真は、住まいの参考にしていただくためのものです。必ずしもこのように設計できるものではありませんので、ご了承ください。
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家族で料理したくなるキッチン
家の中心に置くと、にぎやかな食卓に
長年、新築やリフォームを手がける一級建築士の水越美枝子さんによると、子どもが結婚するタイミングでキッチンをリフォームする人が多いそうです。家族が増え、コミュニケーションをとりやすくしたいというニーズから、アイランド型やペニンシュラ型の対面式キッチンが人気だとか。
「料理を家族でワイワイつくるような、キッチンを家の中心にしたい、という考え方ですね。キッチン側に2人、3人と立てるようにするか、ダイニング側に立てるようにするか、それぞれのお宅に合わせてプランを立てるのがいいと思います」
また、キッチンの形を変えることで、料理する時間が、もっと楽しくなります。
「例えば、壁に囲まれたクローズドキッチンをオープンキッチンにすると、テーブル越しにお気に入りの庭が見えたり、ベランダの花が見えたりします。キッチンから見える景色は意外と大切で、開放的な景色が目に入ると、立つ人の気持ちも明るくなります」

美しく片づく収納スペース
共用スペースにモノを置かない工夫を
「家をきれいに保つコツは、玄関と洗面所とダイニング、この3つの共用スペースの収納を充実させること」と、水越さんはアドバイスします。
「ダイニングテーブルに何も置かれていない状態は、部屋をとてもきれいに見せてくれます。ですので、ダイニングには、テーブルに置かれがちな細々としたものを一時的に避難できるようなカウンター収納を設けるといいでしょう」
リビングやダイニングに荷物を持ち込まないことも大切。それには、玄関の収納がポイントです。
「玄関にはたっぷりと収容力を持たせるとよいでしょう。玄関の近くにコートかけをつくってもいいですね。また、玄関に続く土間スペースをつくれば、アウトドアグッズや子どもの外遊び道具などをしまう物置代わりになります」
洗面所は共用スペースでありながら、個々で使用する場所だからこそ、余裕のある収納が必要です。
「洗面所には棚がたくさんあって、大容量のものが置ける、高密度のタワー収納をおすすめしています」
仕事がはかどるテレワーク空間
夫婦それぞれのワークスペースをつくる
「テレワークは、新型コロナウイルスによる自粛生活が始まる以前から浸透しつつありました。ただ、その頃は割合として男性より女性のほうが多かったので、お子さんの様子を見たり家事をしながら作業ができるように、ダイニングやキッチンに近いところにちょっとした仕事スペースをつくるという事例が主でした。今後は、ご夫婦共にテレワークする場合にも対応する必要がありますね」(水越さん)
例えば、それぞれがオンライン会議に出席するとなると、お互いの声や、家の中の物音がどうしても気になります。
「その場合は、夫婦でスペースのすみ分けが必要ですね。日中は主寝室が空いていると思います。寝室の片側の壁の部分に奥行40センチほどのカウンターを一枚設置して椅子を置くだけで、隔離された仕事スペースがつくれます。また、階段下や階段を上がって部屋に入る手前の空きスペースなど、デッドスペースをうまく活用すると、静かで落ち着けるワークスペースになります」
部屋の中に“木の小部屋”をつくる「箱の間」

「箱の間」は大幅なリフォームをしなくても、住まいに置くだけで、落ち着いて集中できる居場所をつくれる、国産スギ材を使った家具。入口を壁に向けると一人でこもれる空間ができ、テレワーク空間や書斎に最適。
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三菱地所のリフォーム
没頭できる趣味スペース
マンションでも楽器を思いきり弾ける
音楽や手芸、アウトドア、コレクションなど、趣味スペースを設けると、おうち時間がさらに楽しくなります。
「ピアノなどの楽器を思いきり弾きたいという場合は防音が必要になります。戸建ての場合は外壁を防音壁にしたり、防音を施した地下室をつくれるのですが、マンションの場合は二重サッシにしたり、部屋の中に2〜3畳の小さなブースをつくったりします。床を少し浮かせると振動音も防げます。車やバイクが好きな方の中には、ビルトインガレージにして室内から眺めたいという方もいます。ほかにも、玄関にある程度の広さの土間スペースをつくれば、自慢の自転車やサーフィンの道具などを並べたりして楽しむこともできます」(水越さん)
広い間取りでなくても、アイデア次第で趣味スペースを持つことができます。
「ガーデニングやべランディングなど、バルコニーやテラスの活用も今後のマンションリフォームの提案の一つになると思います」

外遊びより楽しい子ども基地
死角があれば親も子もストレスフリーに
子どもが思いきり遊べる基地をつくるなら、安全対策を施したうえで、あえて親の目から見えない「死角」をつくるのもいい、と水越さんはアドバイスします。
「子どもは、次の日も同じおもちゃで遊びたかったりします。そうすると、出しっぱなしになり、親にとっては、ストレスになりがちです。そこで、例えば、リビングの上のロフトを遊び場にすると、散らかっていても親からは直接見えないので、意外と許容できるんです。死角がない場合は、家具を活用するのもアイデアです。背の低いボックス家具で、部屋を仕切ってもいいですね。」
子ども基地で親子のコミュニケーションもさらに深まります。
「ただ、ゆくゆくは親離れ子離れも必要だと思います。区切られた子ども部屋など、自分で整理整頓し、集中できる環境を整えてあげることも大切だと感じます。」
