中古マンション選びのコツ

中古マンションを買う前に!4つの「落とし穴」に要注意!

新築マンションの価格高騰が加速する現在、中古物件を検討する人も少なくないだろう。たしかに新築よりも安く、母数が多いため選択肢も広がるが、中古物件ならではの注意点もある。現場をよく知る不動産コンサルタント・後藤一仁さんに、中古マンションを買う前に知るべきポイントを聞いた。

【落とし穴①】古い設備にかかる費用、特に「窓」は要チェック

築年数が経った物件は設備が古く、傷や汚れ、故障などがあることが多い。設備の交換や床・壁などの補修、ハウスクリーニングを自分で行うには、それなりの費用と期間を要すると考えてほしい。

設備の現行モデルがない場合は、交換するハードルは高くなるだろう。特に「窓のサッシ」には注意が必要だ。

「マンションの場合、玄関ドアや窓枠、窓ガラスなどは区分所有者の所有物ではなく、マンションの共用部分となります。専用使用ができますが、自分で勝手に変えることはできません。築年数が古く断熱性や遮音性が十分でない窓だった場合には、内側に新たにサッシを取り付け、二重サッシにするなどの対応を自ら行う必要がある場合もあります」(不動産コンサルタント・後藤一仁さん、以下同)

古い物件では、部屋の間や浴室に段差があることも。バリアフリーな環境が必要となった場合は、自分でリフォームしなくてはならない(バリアフリー工事が可能であることが条件)。

【落とし穴②】税金の対象と耐震性。キーとなる「1981年6月1日」と「1982年1月1日」

どれほどの築年数から気をつけるべきなのか。「まず念頭に置かなければならないのは、1981年6月1日、そして1982年1月1日。とても重要な目安です」と後藤さんが語る理由は大きく2つある。「耐震性」と「税金面」だ。

「震度6強や7が起きても原則として建物が倒壊しないとされる、いわゆる『新耐震』設計基準は1981年6月1日以降の建築確認からです。それ以前に建築確認がなされた物件は、原則として『旧耐震』または『旧々耐震』設計基準に基づいています。マンションの完成までには階数プラス3ヵ月以上はかかることを考慮し、さらに少し余裕をもって翌1982年6月以降などを基準に考えるといいでしょう。また、住宅ローン控除や登記をする際の登録免許税など税金の軽減措置は、1982年1月1日以降に建てられた物件に適用されます。それより前に竣工された建物は対象にならないので注意が必要です」


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【落とし穴③】建物に対する客観的な評価。視認しづらい点を見逃さない

古くなるほど、物件概要がわかりづらい点にも気をつけたい。2000年に「住宅性能表示制度」が本格的に運用開始され、新築物件は、省エネや遮音性、耐震性など10の分野を共通の基準のもとで評価されるようになった。

「この制度が施行される前の物件では、このような客観的に住宅性能を評価し表示するための基準がなく、制度運用後においても『住宅性能評価書』紛失のため確認できないケースもあります。内見してもわからないような項目は、仲介業者を通じて管理会社などに確認するといいでしょう」

また、中古物件では、売主が分譲時のパンフレットをはじめ、敷地配置図や各階平面図なども紛失することが少なくない。パンフレットは専門業者から買うこともできるが、すべての物件のものがあるわけではなく、手掛かりが少ない状況で購入を検討しなくてはならない状況に陥ることもあるので注意が必要だ。

【落とし穴④】生活に影響する管理面は、管理会社に確認を

建物のハード面だけでなく、ソフト面、つまり「管理状況」も重要だ。特に多くのトラブルとなる「騒音」は必ず事前に確認したいもの。内見の際には、共用スペース内の掲示板やエレベーター内の掲示物に、騒音問題を注意するような張り紙がないかをチェックしてほしい。

「検討しているマンションの管理規約や使用細則も、仲介業者を通じて入手し、必ず確認してください。楽器などの騒音について調べるにしても、例えば近隣の迷惑となるような音量での演奏を禁止しているだけでなく、“夜8時~朝9時の間は楽器の演奏禁止”など、より具体的に決められている方が安心でしょう」

加えて、「長期修繕計画」と「管理体制」も事前に確認しておきたい。修繕は「いつ」「何が」行われるのか、自己負担があるのか、あるのならどの程度かかるのか、また管理費や修繕積立金の値上げ予定はあるのかなどを聞いておこう。管理体制は、区分所有者が自ら管理を行う自主管理よりも委託管理、なかでも全部委託の方がトラブルは起こりづらい。さらに、築年数が経過している場合はセキュリティ面が十分でなく、ペット不可の物件が多いのも中古ならでは。マンション内でトラブルを抱えていないかなど、気になる点や不安な点は残さず、解消したい。

実際に確認・注意すべき点は多岐にわたるため大変だが、諦めないでほしい。多くは管理会社や仲介業者を通じて確認できることだ。

「住むことになれば何かあった際にはお世話になるので、管理会社の担当者と連絡が取りやすいと安心でしょう。また、内見時に売主さんが同行することもあります。気になっていることを聞くチャンス。管理面などは、住人や状況をよく知る管理人さんに話を聞くのも一手です」


(2023年6月13日掲載)


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お話を聞いたのは●後藤一仁さん

ごとう・かずひと/不動産コンサルタント、株式会社フェスタコーポレーション代表取締役社長。1965年神奈川県生まれ。大手不動産会社のハウジングアドバイザー、東証一部上場企業連結不動産会社の取締役を経て、2002年に株式会社フェスタコーポレーションを立ち上げ、代表取締役に就任。「不動産を通じて、世の中の一人でも多くの人を幸せにすること」をミッションに掲げ、専門家として、テレビ、雑誌、書籍、ウェブなどあらゆるメディアで活躍中。主な著書に『マンションを買うなら60㎡にしなさい』(ダイヤモンド社)、『東京で家を買うなら』(自由国民社)。
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