オーナーズ・ボイス

70代での引越し。娘さんご夫婦とつくりあげた、快適な住まい

オーナー様のプロフィール・お住まいの情報

香川悦子さん(70代)

  • 家族構成/1人
  • 間取り/2LDK
  • エリア/兵庫県

ドライブのはずが、部屋探しだった

この部屋に暮らして6年になる香川さんですが、ご自身で積極的に物件を探したわけではないとのこと。では、なぜこの部屋と出会い、生活することになったのでしょうか。香川さんに、当時の記憶を遡っていただきました。

「当時は、主人と一緒に市街地に暮らしていました。ただ古いマンションだったのでエレベーターがなく、体が悪かった主人は5階の部屋への行き来に苦労していました。それを見かねた娘婿が、部屋を探してくれたんです」

おもしろいことに、娘さんご夫婦は部屋を見に行くとは言わずに、ドライブに行こうと香川さんを誘ったそうです。
「正直にマンション探しだと言うと、私たちが付いてこないと思ったんでしょうね。ドライブに連れて行ってもらったはずなのに、なぜかマンションの前で車が停まって(笑)」

床暖房が入った快適なリビングルームで、映画を鑑賞するのが至福のひととき

こうして、香川さんご夫婦と娘さんのご夫婦は、週末ごとに物件を見に行くようになりました。けれども香川さんの慣れ親しんだ町への思いが強かったこともあり、なかなか気に入った物件に出会いません。
「娘とお婿さんの気持ちは本当にありがたいと思いました。いっぽうで、いまさらよその町に暮らすのもどうか、という気持ちもありました。そのせいもあったのか、5、6件の部屋を見ても、どうもピンと来ませんでした」

やはり新しい場所に暮らすことはないのかもしれない——。香川さんがそう思い始めた時に、この部屋と出会いました。当時で、築後約10年を経過していた物件でしたが、建物自体にまったく古さを感じなかったそうです。
「見た瞬間、あっここだ、と直感しました。普段は無口な主人もここならいいと言ったので、やはり夫婦で何か通じるものがあるのでしょうね」

リフォームの楽しさを味わう

香川さんがこの部屋を気に入った理由は、まず閑静な住宅街に位置するという環境のよさで、公共交通機関が整っていることも好印象でした。また1階だったこともあり、これなら外に出るのが苦にならないと思ったそうです。そしてもうひとつ、何を育てようかと夢がふくらむ、立派な庭が付いていることも強く背中を押しました。
「主人は、小さな畑を借りて野菜を育てるほど土いじりが好きだったんですね。体を悪くしてからは遠ざかってしまったので、部屋から庭が見られるのはとても嬉しかったようです」

入居を決めると、香川さんは娘さんとともに、リフォームの計画を立てます。
「もともとつくりがいいマンションで、前のオーナーの方もきれいにお使いだったので、どうしてもリフォームが必要な状態ではありませんでした。でも、せっかく新しい生活を始めるのだから、自分好みの部屋にしたくなったんです」

リフォームのポイントは、香川さんご夫妻が快適に暮らせるということです。まず床暖房を入れ、下駄箱や台所の収納も出し入れがしやすいタイプに変更しました。キッチンやバスルーム、洗面所も最新の設備に換えると、驚くほど便利に使えるようになったといいます。

「壁紙やカーテンを娘と一緒に探しに出かけたのも、楽しい思い出ですね。一番のお気に入りはこの壁紙で、出会った時は心がときめきました」

こうして、香川さんの理想の部屋が完成したのです。

リフォーム会社の協力も得ながら、スイングダウンウォールと呼ばれる器具を棚に設置することで収納部を使いやすくするなど、快適な家づくりを進めた

暮らしを支えてくれるのは友人たち

残念なことに、香川さんのご主人は2015年に亡くなられました。悲しみに打ちひしがれた香川さんが立ち直ることができたのは、ご友人のおかげだったといいます。
「私はさびしいのが大嫌いなので、お友だちと出かけたり、家に遊びに来ていただいたりすることが多いんです。この家に来た方はみなさん、この部屋とお婿さんがうらやましいと言ってくださるので、私も元気になります。このあたりはバスでの移動が主流ですが、バス停がすぐ裏という立地なので、出かけるのにも、来ていただくのにも、本当に便利です」

広くて明るいリビングで、タップダンスの練習に励む

このマンションの中でも、香川さんは交友関係を築いていらっしゃいます。
「引っ越して来て、まずみなさんにご挨拶にうかがいました。私たちより若い方ばかりでしたが、みなさん気さくに接してくださいます。私たちが旅行に出かけている間は植木に水をやってくださったり、ご近所付き合いは本当に大事だと痛感しています」

ご主人を亡くされたさびしさが消えることはありませんが、DVDで大好きな映画を鑑賞するなど、香川さんは少しずつ日常生活を取り戻しています。
「体力を戻さなくちゃいけないと思い、最近タップダンスを習い始めました。目標は発表会に出していただくことで、部屋で個人練習をしています。タップの練習ができるのも、あの時1階の部屋を選んだからだ、と思い出しますね」

思い出の詰まったこの部屋で、香川さんは新しい一歩を踏み出そうとなさっています。

その他の写真

小柄な香川さんでも作業がしやすいように、キッチン頭上の収納スペースは電動昇降タイプにリフォームした。
娘さんと一緒に大阪まで出かけて、ようやく巡り会ったというお気に入りの壁紙。
このあたりは、多くの方がバスで移動するという。香川さんも、バスを使ってアクティブに行動なさっている。
かつてはミニ農園を借りていたという香川さんにとって、緑と土は生活に欠かせない存在だ。
  • 文中のお名前はすべて仮名です。
  • 「オーナーズ・ボイス」の記事内容は、オーナー様の感想や体験に基づくものです。