ふと寄りたくなる地元のカフェ

商店街から少し入った閑静な住宅地。フェンスに伸びた朝顔と枕木のアプローチに誘われ扉を開けると、そこは・・・

東京都世田谷区 S様邸
竣工/2013年6月 敷地面積/88.67m2 延床面積/77.42m2 規模/地上2階建(1階店舗2階賃貸)

玄関を一歩入ると、ジャズが流れる落ち着いた空間のカフェ&バーが出現。壁の棚一面に並んだ約2700冊の洋書は、大学教授をされているお父様の蔵書。アンティークな家具や照明と相まって魅力的な空気感を醸し出す。

住宅地にひっそり佇む大人の隠れ家

地元客でにぎわう駅の商店街をぬけ、閑静な住宅地の通りをちょっと入った場所に、S様の店舗併用賃貸住宅があります。ダークブラウンを基調としたシックな2階建。1階をオーナー様が経営するカフェ&バー、2階を住居及びアンティークショップのアトリエとして利用しています。この一画だけが時間が止まっているような、とても静かで穏やかな佇まいを見せています。

きれいなブルーの花を咲かせた西洋朝顔がフェンスいっぱいに茂り、枕木を敷いたアプローチがお店の玄関まで案内してくれます。玄関まわりでは、メドウセージやパイナップルセージなどの緑が出迎えてくれました。1年を通じて季節の花々が咲く小径は、お買い物や仕事帰りなどに立ち寄るお客様をほっとさせる安心感を与えてくれます。

お店のロゴ『SKOOB(スクーブ)』が浮かぶガラス張りの玄関ドアを開けると、壁面いっぱいに洋書がずらり。明かりを抑えた照明にほんのりと照らされたアンティーク家具が並ぶ店内は、まるで洋館にある書斎のよう。『BOOKS』を逆さに読んだという店名は、オーナー様のお父様がよく通ったロンドンにある古本屋さんの名前にちなんで付けられたというのも納得。パーソナルチェアに腰かければ、ゆっくりとした時間の流れに包みこまれそうです。

住宅建築での信頼を店舗建築に

イギリスでしばらく暮らしていたというオーナー様は、2013年7月に念願のお店を開業。マスターとしてお店に立ち、お母様と一緒に接客や調理をこなします。お店を探すにあたっては、住み慣れた自宅の沿線と決めていました。地元の不動産屋さんが紹介してくれたこの物件。駅前に小さな個人商店が並ぶのどかなこの街の雰囲気が気に入ったそうです。「住宅地の道路から10メートルほど奥に入った場所。そのちょっとした距離も気に入りました」。しかし、その土地には築50年ほどの古い家が建っていました。リフォームすることも考えていましたが、耐震の問題があり、建て替えることにしたそうです。

建築は、ご両親の住む実家を建築した三菱地所ホームに。「当時まだ私は学生でしたが、家を建てる際に担当の方がとても親身になってくれた様子を見ていました。家を建てるということは自分たちの家族や近所付き合いまで人間関係を全部見せる。そういう意味でも一生のおつき合い。信頼が大切なんです。お店づくりでも三菱地所ホームならそんな気持ちを託せると思い相談しました」と笑顔のオーナー様。

お母様も「以前に建築を頼んだこともあり安心でした。プランニング段階ではいろいろな要望にもきめ細かく対応してくれるし、実際に工事がはじまると、解体や施工時などの節目節目にご近所への挨拶回りをこまめにしてくれました」とのこと。また、お店の壁や本棚の塗装を、三菱地所ホームの営業担当者と一緒に行いました。「壁に珪藻土、本棚にオイルステンをみんなで塗りましたね。夢だった店に自分の手をかけたのはいい思い出になりました。現場は監督や職人さんたちがキビキビと働いていて、おじゃまするたびに相談に乗ってくれるし、みなさん親切で人柄もいい。最後は一緒に写真を撮りました。両親がそうだったように私も三菱地所ホームさんといい信頼関係が築けたと思います」とオーナー様もご満足のご様子です。

イギリス老舗のお菓子メーカー、キャドバリーのチョコレート・ショーケースの中にアンティークコレクションを展示。
キッチンカウンターの照明にはお母様の手彫りのレリーフが

お母様も「以前に建築を頼んだこともあり安心でした。プランニング段階ではいろいろな要望にもきめ細かく対応してくれるし、実際に工事がはじまると、解体や施工時などの節目節目にご近所への挨拶回りをこまめにしてくれました」とのこと。また、お店の壁や本棚の塗装を、三菱地所ホームの営業担当者と一緒に行いました。「壁に珪藻土、本棚にオイルステンをみんなで塗りましたね。夢だった店に自分の手をかけたのはいい思い出になりました。現場は監督や職人さんたちがキビキビと働いていて、おじゃまするたびに相談に乗ってくれるし、みなさん親切で人柄もいい。最後は一緒に写真を撮りました。両親がそうだったように私も三菱地所ホームさんといい信頼関係が築けたと思います」とオーナー様もご満足のご様子です。

本棚の塗装にも自ら挑戦。棚はオイルステン、棚奥は鮮やかなブリティッシュグリーンに

土間でも足元が冷えない工夫を

およそ20坪の店内には、洋書や家具のほかにも、さまざまなこだわりや工夫をちりばめています。「お店の天井は一般的な住宅より高くしています。色はシックな黒に。足元は落ち着いた色の土間にしてみなさんに好評ですね。これは設計段階で三菱地所ホームの営業担当者の方から提案していただいたもの。土間にすることで天井高を上げることができました。

土間の下には断熱材を敷き足元が冷えるのを防いでいます。冬は1台のエアコンでも店内暖房は充分です。照明については、昼のランチと夜のバータイムを考慮して、明るさを変えられるように調光器を付けました。またトイレのインテリアにもこだわりました。店舗に必要なサイズや設備が規定を満たすのはもちろんですが、店舗全体とのコーディネートを考えながら清潔感を大切にしました。

電話機までレトロな雰囲気が漂う。
トイレは店舗のインテリア同様シックなコーディネートに。

2階は賃貸住宅として

店舗の2階は、将来的にカフェ経営の他にも収入の安定を考えて、ワンルームの賃貸住宅を2室設けました。快適な居住空間のために、2口のガスコンロやトイレ別、システムバスなど一般的なワンルームに比べ設備を充実させたのがポイントです。現在は一室をオーナー様の自宅として、もう一室をお母様が経営するアンティークショップのアトリエとして利用されています。

アンティークショップのアトリエとして使用している2階賃貸の一室。

「家」と「店」の間にあるような空間づくり。

洋書とアンティーク家具のあるカフェ&バー。お店のコンセプトは、家族と相談しながらしっかり想い描いてきたものでした。「店の個性のひとつである棚の洋書は、実家にある父の本を拝借してきました(笑)。インテリアとして使わせてもらっています。そして家具やテーブル、椅子は、アンティーク好きの母の提案。一部のテーブルは開業にあわせて購入しましたが、ほとんどは実家にあったものばかり。店に遊びにきた友人にいわせると、“おい、ここはお前の実家のリビングじゃないか”って(笑)。確かに本も家具もほとんど家から持って来たものばかりです。自分が毎日訪ねたくなる、ふと寄りたくなる店にしたいと思っていましたからこうなりました。お客様にはちょっと雰囲気のいい空間で家のようにゆっくりくつろいでいただきたいですね」。

一軒家のような佇まい。やさしい明かりに誘われて、ふと立ち寄ってみたくなる。

地元の人たちに愛される空気感

心地よい空間づくりとおもてなしの考えがお客様にも伝わり、オープン1年目から店内はたくさんのご常連様で賑わっています。「あるお客様から、空気感がいいですね、これは住宅メーカーがつくったからじゃないですかとおっしゃっていただきました。家でもない、かといっていかにも店舗というのを感じさせない。家と店の間にあって、中間的な存在が特別な居心地を醸しているのかなと思います」と振り返るお母様。「三菱地所ホームさんが地道に地元の方へ挨拶まわりをしておいてくれたから、私たち自身もこの街の人たちと溶け込みやすかったですね」。

今年の夏、お客様といっしょに梅酒づくりにチャレンジしたそうです。「焼酎とブランデーの2種類で漬けました。お店に出す前にお客様と品評会をする予定です」となにやら楽しげなご様子です。

地元の人たちが集う居心地のよい空間。それは建築やインテリアだけではなく、マスターであるオーナー様のやさしい人柄が時間を重ねて紡いだものでした。オープンから1年の時を経て、地域のお客様に愛されるアットホームなカフェとしてしっかり溶け込んでいるようです。

  • 本記事の内容は2018年6月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。