ライフデザイン

“片付けてもすぐに散らかる”から卒業!リバウンドしない部屋の作り方

「物が増えてしまい置き場所がない」「片付けてもすぐに散らかってしまう」と悩む人は多い。心休まるはずの自宅がストレスのもとになっては本末転倒。もう二度とリバウンドしない、散らかりにくい部屋を作るコツを“片づけアドバイザー”の石阪京子さんに伺った。

片付けのポイントは「部屋割り」にあった!

片付けても時間が経つと散らかってしまう、リバウンドしやすい部屋の特徴として、石阪さんは「物の住所が決まっておらず、いろんな物がさまざまな場所に置いてある」ことを挙げる。

「例えば大人の洋服や鞄が自分の部屋に収まらず、リビングや子ども部屋などに置かれているなんてことはないでしょうか。おもちゃが子ども部屋だけでなく、リビングや物置にもあるような場合も要注意です。このように家に“枠”を決めなければ、スペースのある限りいくらでも置けてしまう。結果として物が増え、捨てても散らかってしまうリバウンドしやすい状態になります」

そこで石阪さんが重要なポイントとするのが「部屋割り」だ。家族みんなが使用するリビングやキッチン、風呂などは「パブリックスペース」、一方、個人の寝室や仕事、勉強、趣味などのための部屋は「プライベートスペース」と、家の中でパブリックの部分とプライベートの部分を明確に区切る。

「パブリックの場に個人の物があることが“散らかっている状態”の原因になります。すると、みんなで過ごす場所がくつろげず、けんかのもとにもなりかねません。自宅とは、家族が仲良く、心地よく、幸せに過ごすための場所。片付けるのはそのためです。各自にとって大切な物は個人の場所に。片付けを考えたら、まずは部屋割りから始めてください」

枠を決めたら、個室(プライベートスペース)に収納できる量を超えないように守ること。それぞれが個人の物をパブリックスペースに持ち込まないことさえできれば散らからないという。どうしても自分の部屋や寝室に収まりきらず、リビングなどに置くときには「枠を決めて、見えないように」。扉付きの収納などを活用するといいだろう。

片付けの順序は、プライベートからパブリックへ

片付けの順序としては「プライベートからパブリック」が鉄則だ。石阪さんの提唱する「3日片付けメソッド」によると、1日目はバックヤード、2日目はキッチン、洗面所、そして最後の3日目がリビング。寝室や子ども部屋、書斎の押入れやクローゼット、納戸などのバックヤードには、忘れている物が溜まっていることが多く、処分しやすい場所といえるそう。

「捨てられない人でも、忘れている物や明らかに使っていない物は手放しやすいものです。スペースができれば、行き場がなくリビングに放置されていた個人の物がしまえます。逆に、リビングから片付けると、日常的に使っている物が多いため、なかなか捨てられません」

その際、事前に収納用品を買うのはおすすめしない。まずは自宅にある紙袋や段ボールに仕分け、その内容や量を見たうえで購入してほしい。本が多ければ棚、洋服や小物であれば引き出しなど、持ち物の量を把握したうえで用意したい。

「収納は大きな枠から小さな枠に向けて考えてください。どのように収納するか構想を練ると、具体的に合う収納用品が見えてきます。前提は容量ではなく“使いやすさ”です」

衣類の収納に関しては、クリーニングの保管サービスもおすすめ。冬期のダウンなどを預けられると約40センチ四方のスペースが確保できる。収納場所が足りなければ、ベッド下を活用するのも一手だ。

収納は7割を目安に。3割の余裕でリバウンドを防ぐ!

部屋割りを守りながら、個人で片付ける習慣を身につけることが部屋をきれいに保つコツ。加えて「収納は7割程度に抑え、3割ほどの空きスペース」を設けることも覚えておきたい。

「自宅に入ってくる物は流動的です。仕事道具を持って帰らざるを得ない、食品や水を買いすぎることもあるでしょう。せっかく片付いていた部屋のリバウンドが始まるのは、それらの置き場や収納先がなく、床に置いてしまったときです。3割ほど余裕があると防ぐことは可能です」

すでに収納をフルに活用している人は、処分しなくてはならない物が出てくる。

「衣類であれば人に譲れる物。捨てる決断はできないものの、機会さえあれば手放せると思っているのは必要ない物です。汚れた靴など自分の価値を落としそうな物も処分していいでしょう。また、キッチン道具を始めとする便利グッズ類。すでにある道具で代用できる物は処分の対象にして、フレキシブルに使える物だけを残すといいでしょう。“使っているか”ではなく“本当に必要か”の視点で考えてください。スペースが空くことで快適に調理できる可能性もあります」

一方で書類やノート、手紙などの紙類は量も膨大になる。石阪さんは「本当に紙として残しておきたい情報」のみ残し、それ以外は写真に撮ってすべてデータ化にすることを勧める。テキストや画像の管理にEvernoteのようなツールを活用するもの手だ。

「有料版のサービスであれば文字で検索でき、紙のノートを広げて探すよりも効率的です。私は一時的なアウトプット用としてノートを使っていますが、その後、必要な部分のみ撮影してデータとして保管しています。データ化することで紙類の9割近くは減らせることもあります。その作業を苦に感じるのであれば、実は必要ないと判断してよい物かもしれません」

習慣化のコツは「記録」。物の多さの判断は寝る前15分でチェック

一度片付けても、整った状態を維持することや習慣化することは簡単ではない。きれいな部屋を維持するために重要なのは「家族の理解」だという。片付けを始める前に家族会議をして「なぜ片付けるのか」「どんな家にしたいか」を共有し、各自が理解・納得したうえで部屋割りを決めてほしい。また習慣化する1つの手段として、石阪さんは「片付けたら部屋を写真に撮ること」をすすめる。

「散らかってきたと感じたら、写真を参考にしながら元の状態に戻してください。また、寝る前に出した物や使った物を片付けることも有用です。もし15分以上かかるのであれば、まだ物が多い証拠。物を減らしてリセットするタイミングと考えてください。2週間も続ければ、生活の一部として自然と身につくでしょう。成果を写真に撮るなどして、誰かに見てもらうことも継続に繋がります」

リバウンドしない片付け術を覚えれば、一生、きれいな部屋で快適に過ごすことができそうだ。一方で、いざというときのための備えも必要だ。備蓄品では水を優先し、確保するスペースを。

「一般的に支援物資が届くまでの3日間で考えると、4人家族が必要となる水は、2リットルのペットボトル段ボール2箱です。これは収納ケースの引き出し1つ分のスペース。備蓄品を置くスペースとしても、やはり(先述の)3割の空きスペースを設けておくべきでしょう」

お話を聞いたのは●石阪京子さん

片づけアドバイザー/宅地建物取引士/JADP メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー
大阪で夫と不動産会社を起業。女性目線での建築設計、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけを提案。独自のメソッドは、リバウンドしない片付けというのが特徴で、同メソッドによって片付けに成功した人は約1000人にのぼり、これまで片付けに悩んだ人々の「最後の駆け込み寺」といわれる。著者に『奇跡の3日片づけ』(講談社)、『これが最後の片づけ!』、『人生が変わる 紙片づけ!』(どちらもダイヤモンド社)などがある。
ブログ 片づけの向こう側 http://kyokoishizaka.blog.jp/