ガーデニング

センスよく観葉植物を飾る5つのテクニック

生活に彩りや癒しを与えてくれる観葉植物が人気だ。だが、実際に置いてみると「部屋の雰囲気に合わない」「雑然としてしまう」など、グリーンを活かした部屋には程遠い……という人も多いかもしれない。グリーンコーディネートのプロに、すぐに実践できる「センスの良い飾り方」のコツを聞いた。

上手な育て方のポイントは「水やり」「風通り」「置き場所」

グリーンコーディネートのプロとして、植物に関するさまざまな相談に対応する佐藤桃子さんは、植物を飾る前に知っておきたい「基本的な育て方のポイント」をこう語る。

「大事なことは3つ。『水やり』『風通り』『置き場所』です。毎日漠然と水やりするのでなく、表面の土がよく乾いてから水やりすること。毎日10分でも窓を開けるなどして、風を通すこと。植物が好む場所に置いてあげること。好む場所は植物の種類、原産地によって異なります」

「風通り」は、初めて耳にするかもしれない。植物は、風の通らない場所では虫や菌のトラブルが起きやすい。また、うまく光合成ができず、生育もしにくい。窓が開かない環境なら、サーキュレーターをまわすなどして空気を循環させよう。

「お部屋の中でも、時々そっと揺らして風を通してあげるといいですよ。植物もペットと同じ感覚で、見て触れることが肝心。近くで見ると、乾燥や変色などのトラブルにも気づきやすいです」

植物の原産国はさまざま。日当たりの好みも異なるが、亜熱帯が原産の植物だから、と夏場に屋外に出すのはNGだ。

「市場に出ている観葉植物はほとんどが日本の温室育ちですから、室内の環境が生育に最適。耐陰性の植物なら、時々窓際に置いてあげれば充分です。日当たりを好む植物なら窓際に置く。外に出して日に当てるなら、春や秋に短時間だけ。冬場は寒すぎ、夏場は暑すぎて葉が焼けてしまうので、置きっぱなしはNGです」

古葉や伸びすぎた枝はそのままにせず、成長期の春夏の間に剪定しておくことも大事だそう。剪定せずに育てると、新芽が出づらかったり、樹形が不格好になったりするため、年に1度は剪定しよう。

お部屋がセンスアップするグリーンの飾り方

育て方の基本をおさえたら、飾り方をマスターしよう。佐藤さんおすすめの初心者でも簡単にセンスアップする飾り方を5つ紹介する。

その1.「曲がり樹形」と「流れ樹形」でこなれ感を出す

植物を楽しむ人たちの間で最近人気なのは、幹をS字やらせん状に曲げた「曲がり樹形」と、幹を横に流して仕立てた「流れ樹形」だ。

「インテリア感度の高い30~40代の層にとくに人気があります。空間に変化をつけられるので、スタイリッシュな雰囲気、こなれ感が出て、ぐっとセンスアップできますよ」

曲がり樹形(左)と流れ樹形(右)。観葉植物自体がオブジェのような存在感に。

その2.部屋のテイストと「鉢カバー」を合わせる

購入してきたままのプラスチック鉢だとインテリアになじまず浮いてしまうし、鉢そのものを交換するには、植え替えが必要でハードルが高い。その点、「鉢カバー」なら、買ってきた鉢にそのまま被せるだけで簡単におしゃれ感がアップする。

「カゴ、麻、陶器、セメント、テラコッタ(素焼き)など、さまざまな素材の鉢カバーが売られています。インテリアの色味やテイストに合わせて、また気分に合わせて模様替えも簡単にできますので、いろいろ試してみては」

とくに大きなサイズのグリーンは目につくので、部屋の雰囲気に合わせた鉢カバーを選びたい。

その3.「吊り鉢」で高い位置にグリーンを置く

天井や壁から吊り下げる「ハンギング」もおすすめだ。目線より高い空間に飾ることで、見慣れた部屋のイメージチェンジにもなる。置くスペースが確保しにくいキッチンなどにも飾れて、空間を広く感じさせる効果もある。

「壁に穴を開けなくても、照明のダクトレールやカーテンレールにフックを取り付けて吊るせばOK。水やりも週に一度程度、下に降ろしてたっぷりあげればいいので、気軽に取り入れてみてください」

つるが伸びていくグリーンはハンギングにぴったり。

その4.高低差で空間に変化をつける

植物を1カ所に置くのではなく、床→目線より低め→目線より高め、といった具合に配置し、高低差をつけるのも空間演出に効果的だ。

「植物のためにちょっとスペースを作ってあげて、スツールやサイドテーブルの上に鉢を置いてみましょう。大きめのシンボルツリーも自然の森のような奥行きが生まれます。人が通るパーソナルスペースを枝や葉が遮らないようにすれば、邪魔になりません」

目線の高さを利用したコーディネート例。

その5.葉に色や模様の入った個性派でおしゃれ度アップ

葉っぱの形や葉脈の模様が特徴的なものを取り入れると、ひと味違う個性的な印象に。白っぽい斑が入ったもの、黄色や赤系のものなど、色や形も楽しめる。

「観葉植物というと緑一色だと思われがちですが、そんなことありません。水玉やストライプ、マーブルなどユニークな模様のものや、緑以外の色味もいろいろあります。お花を飾る感じで、ぜひ取り入れてみてください」 

エキゾチックな葉模様が楽しめるカラテア。

初心者は、大きめのシンボルツリーを選べば失敗なし

「観葉植物の種類がありすぎて、どれを選んでよいか分からない」という人に、初心者でも育てやすい種類についても聞いてみた。

佐藤さんいわく、「迷ったら、ワンサイズ大きめを買うこと」。シンボルツリーとなるような、大きめの植物を選べば初心者でも育てやすいのだという。おすすめは、品種が充実し日本の環境に適した「ゴムの木(フィカス)」や、乾燥に強く水持ちもいい「ドラセナ」だ。

鉢の直径は20センチ以上、できれば大人の身長程度あるものなら、根もしっかりしていて体力があり、多少の水切れでも枯れたりしにくい。初心者のほか、留守にしがちでこまめに世話がしにくい人にも向いている。

「植物はもちろん生き物。ペットと同じです。ただ眺めるだけではだめで、日々の変化の観察やお手入れも必要になります。でも、そうした世話もまた、植物を育てる楽しみの一つ。手をかけた分、人間を癒してくれますよ。素敵なグリーンライフを送ってください」

ドラセナ(左)とゴムの木(右)。

お話を聞いたのは●佐藤桃子さん

ハウスメーカーで造園・観葉植物などに携わったのち、観葉植物専門店の店長としてトータルでプロデュースを手掛ける。2022年よりAND PLANTSに所属。著書に『INTERIOR GREEN 観葉植物と日常』(ブティック社)。ほか、監修本多数。

https://andplants.jp/