ガーデニング

「水をやらなくても育つ」は大きな誤解
~エアプランツの種類と育て方~

今回は、人気のエアプランツの基本的な育て方と、さまざまな種類をご紹介します。
特に水やりの方法については誤解している方も多いので、育てたいと思っているかたはぜひ参考にしていただければと思います。

「水をやらなくても育つ」という思い込みが枯れる原因!

「インテリアプランツ」と呼ばれて人気のエアプランツですが、「水をやらないでも育つ」という思い込みが流布していて、まったく水やりをしないまま枯らしてしまう失敗が多いようです。

水やりはスプレーとソーキングで

最近は100円ショップでエアプランツが売られているそうで、先日とあるお客様より「一ヶ月ほど前に100円ショップで買ったエアプランツにまったく水やりをしてないけれど、このままでいいのか?生きているのか枯れているのかがわからない」という質問をいただきました。

エアプランツも生きていますから、水やりは必要です。
ただ、普通の植物と違うので10日~14日に1度、ソーキング(全体を水中に8時間程度浸すこと)するとよいでしょう。その後は乾燥させます。

夏場は室内が蒸し暑くなりますから、風通しを良くしてあげてください。また、霧吹きで株全体を湿らせても良いでしょう。

エアプランツは、株元の密集した部分に水を受けるような構造になっていて、その部分に水が溜まり過ぎると蒸れて腐ってしまう場合もありますから、注意してください。
水をやりすぎた場合は、黒くなってきます。

また、枯れているのか生きているのかわからない、ということですが、枯れると葉が巻いてカリカリになります。
置き場所を固定してあげて、できるだけ触れずに飾っておくと植物に負担がかかりませんから、ガラス器やお皿などに置いてディスプレイしてください。

人気のエアプランツ。水やりを忘れず、風通しの良い場所を選んで育てましょう。

エアプランツの基本

エアプランツは、正式にはパイナップル科のチランジア(Tillandsia)という学名の植物です。パイナップルの葉の部分のようなかたちの品種がよく流通しています。もともと山の樹木や岩石に張り付いて自生しているので、風通しのいい場所で育てることが重要です。

古い本で絶版かもしれませんが、エアプランツの良書です。写真も種類もふんだんに紹介されています。樹木や岩に自生しているエアプランツの様子がよくわかります。

清水秀男、滝沢弘之共著
『ティランジア・ハンドブック』
(日本カクタス企画社)

エアプランツの種類

ここでは、少しめずらしいものも含め、エアプランツの種類をご紹介します。用土の必要がないので、本来の意味でのインテリアプランツとして、インテリアにあわせたガラス鉢や皿、砂利敷きのトレイなど、さまざまなアレンジが楽しめるのが魅力です。

イオナンタ・ルプラ:開花のときだけ葉が赤く染まります。写真は、少し赤くなりはじめているところ。
ベリッキアーナ:深めのガラスの器に入れると、これからの季節涼やかな印象で、エアプランツも保護されることになります。
カビナータ:入れ物をメタリックなケースとカゴに変えるだけで、イメージが変わるのがよくわかります。
テクトラム:白銀色の起毛に覆われた、めずらしい種類のエアプランツ。
パウシフォリア:中央に花が咲き始めています。
コンコロール:固い葉で、横に広がって成長します。ガラス器に石を敷き詰めてディスプレイしてみました。
トリコロール:ネギのような細い葉が密集していておもしろいですね。
キセログラフィカ:ころんとしたフォルム。ガラスに入れてみましたが、もっと大きい古伊万里の大鉢に入れてもよさそうです。
カプトメドーサ:ギリシャ神話に出てくる、見るものを石に変えるという怪物「メドゥーサの首」という名を持つエアプランツ。オブジェのようにディスプレイできます。

エアプランツはおしゃれにインテリアに溶け込んでくれますね。ただ、植物であるということを忘れないで、枯れていないか、水で蒸れていないか、丁寧にチェックして育ててください。

著者:寺井 通浩
東京都渋谷区上原にある、フラワー&グリーンショップ「からならの木」のオーナー。
「植物と暮らす」をテーマにガーデニングやディスプレイを手がける。月に1回花の教室も開催するほか、個人宅のコーディネート相談も受け付ける。