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2万世帯の家計を見てきたプロが唸った「節約家族の家計簿」

テクノロジーが進化しても、お金を貯める基本が「家計管理」にあることは変わりません。ファイナンシャルプランナーの藤川太さんが目撃した節約家族のお金の使い方を通して、家計改善のコツをつかみましょう。

お金が貯まるかどうかは、冷蔵庫を見ればわかる!

節約家族の家訓 其之一

電気、食材のロスを許すな

ちりも積もれば山となる。「冷蔵庫はスッキリ、冷凍庫はギッシリ」にして電気・食材のムダを徹底排除すべし。

私は、雑誌の企画などで依頼者の自宅を訪問し、実際の暮らしぶりを取材していくうちに、お金が貯まる家庭かどうかが、わかるようになってきました。なかには、思わず唸るような、「家計管理」が完璧な家庭もありました。そうした家庭は、お金を使うこと、貯めることに対する考え方がまったく違います。節約テクニックそのものではなく、お金を貯めるための意識的な思考と行動力がすごいのです。

家庭を訪問する際に、まず見せていただくのが冷蔵庫。普通の家庭では、庫内が食材であふれている、賞味期限切れの食材が見つかる、何が入っているか把握できていない、というのが一般的です。
 
ところが、ある日、冷蔵庫を開けて一瞬、目を疑いました。透明なカーテンのようなものがかかっているのです。聞けば、百円ショップで買った「冷蔵庫カーテン」を付けているとのこと。ドアを開けたときに庫内の冷気が逃げないようにカーテンを付けて、電気代を節約しているのです。その後、多くの家庭を訪ねましたが、節約上手の家ではこの方法は“常識”となっているらしく、多くの家庭でこの冷蔵庫カーテンを活用していました。冷蔵庫は、冷たい空気を流すことで庫内を冷やしていますから、食材をギッシリ詰めてしまうと庫内の空気が循環できないため、電気代アップにつながります。

また、対照的に「冷凍庫はギッシリ詰め込んだほうが電気代がおトク」ということも、節約上手な家庭では常識です。凍った食材が保冷剤のような役割を果たし、互いに冷やし合うため、冷凍庫の効率をアップさせてくれるのだそうです。「冷蔵庫はスッキリ、冷凍庫はギッシリ」。これが、お金の貯まる家庭のセオリーです。

冷蔵庫の冷気を逃がさないためには、扉の開け閉めの回数をできるだけ少なくすること。そのために「食材ストック管理表」を活用している家庭もありました。冷蔵庫の扉に表を貼り、在庫数、購入日と賞味期限を書き込んでおくのです。買い物に行くときには「食材ストック管理表」を見ながら足りない食材をリストアップし、買い物リストを作成するとのこと。これなら、電気代節約に加え、購入すべき食材が把握できるのでムダな出費も防げるというわけです。

節約上手な家庭は買い物の仕方が違う!

節約家族の家訓 其之二

計画にないモノは1円でも買うな

必要なものだけを最小限に買うのが、家計管理のキホン。買い物を「楽しむ」という意識を捨て去ること。

買い物リストといえば、私が思わず仰天したアイデアがありました。その方は買い物に行くとき、買うべきものを手の甲にボールペンで書くそうです。私が「なぜメモ用紙に書かないんですか?」と聞くと、その方は驚いたように「だってメモ用紙だと、いっぱい書けちゃうじゃないですか!」と言うのです。余計なものを買ってしまうことを徹底して恐れている。これぞ究極の節約術といえるでしょう。

「スーパーに行くときは夫と子どもを連れて行かない」という方も。「『今日はこの4品以外は買わない』と決めてスーパーに行っても、レジでふと気付くと、お菓子やおつまみが入っていたりするんです。夫や子どもは家計管理の敵。だから買い物は1人で行くようにしています」とキッパリ。

なるほど、私も、休日に家族でスーパーへ行くと気分が楽しくなって、ついつい不要なものを買ってしまいます。

教育には、一切お金をかけない

節約家族の家訓 其之三

ヨソはヨソ、ウチはウチ

支出に困らない「中の上」の家族ほど、マイカーや教育費などに見栄を張りがち。お金を貯めたいなら、プライドに固執しないことが肝要。

徹底した節約で、「家族4人で出費は月10万円」を実現している家庭の相談を受けたことがあります。その方は「教育にお金を使わない」ことをモットーとしていました。

子どもは学習塾や習い事に通うより、外で遊ぶことのほうが大事。子どもが勉強したいというならオンラインで無料学習する方法はいくらでもある。だから教育費はかける必要がない、というのです。

皆さんの中には「そこまでしなくても」と思われる方もいるかもしれませんが、私自身は大賛成です。オンライン学習なら、塾に通わなくても全国トップレベルの講師の講座を受けることができます。実際、私の子どもも、ウェブでオンライン学習サイトを見つけ、自分で勉強していました。

収入が比較的多い“中の上”の家庭では、「携帯電話は大手キャリアじゃないとイヤ」「クルマは自家用車じゃないとカッコ悪い」など、妙なプライドにこだわる人が多いのです。そうした人にこそ、こうした“節約する心得”をヒントに家計を見直してほしいですね。

最も大切なことは、「他人は他人、自分は自分」という揺るぎない価値観を持てるかどうか。節約してお金を貯められる人は、自分の基準で納得したものにお金を使います。必要のないものにはお金をかけないことも徹底しています。

家計管理は「弱い自分との戦い」です。節約上手な人は、自分が「お金を使ってしまう体質」だと知っています。そんな自分に打ち勝つために、お金を使わない仕組みをつくろうと知恵を絞っているのです。皆さんもぜひ、現在の生活を見直し、「お金持ち体質」への転換を図ってみてはいかがでしょうか。

家計改善のポイントは収入によって違う!

収入が少ない家庭は日々の「やりくり費」を見直す

収入が少ない家庭の支出は、食費、外食費、小遣い、日用品費など「やりくり費」のかたまり。給料が入ったら先取りで貯蓄分を確保して、残りのお金を1週間単位で管理するなど、節約生活を習慣化することが有効。

収入が多い家庭は「固定費」にメスを入れる

住居費(住宅ローンを含む)、通信費、生命保険料など、金融機関の口座から毎月自動的に引き落とされる「固定費」は、ムダな出費に気付きにくい。定期的に見直す習慣をつけ、不要なものは削っていくこと。

節約体質に変わりましょう

2万世帯の家計を診断したファイナンシャルプランナー

藤川 太さん

ふじかわ・ふとし●1993年、慶應義塾大学大学院履行学科研究科修了。2001年に「家計の見直しセンター」を設立以降、2万世帯を超える家計診断を行ってきた。『はじめてのマイホーム 建て方・買い方完全ガイド』(共著、エクスナレッジムック)など著書多数。