ベテランの住宅ジャーナリストが語る!「資産価値が上がる街」の見分け方

物件を購入するときにチェックしておきたいのが、その街の将来性だ。街が発展すると、物件の資産価値も上がりやすい傾向がある。しかし、何を調べれば、街の将来性がわかるのだろうか。そこで、ベテランの住宅ジャーナリスト・山下和之さんに、資産価値が上がる街、下がる街の見極め方を聞いた。

お話を伺った人●山下和之さん(住宅ジャーナリスト)

1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入成功させる完全ガイド』(講談社ムック)などの著書がある。
http://yoiie1.sblo.jp/

人口が増えているか

資産価値が上がる街を自分で調査するには、いくつかの指標が参考になります。

まず、一番わかりやすい指標が「人口増加率」です。

総務省が公表したデータを基にした「人口増減率ランキング2020」をみると、3位が東京・千代田区、4位が中央区でした。これはこれらのエリアに超高層マンションが建ち、人が集まってきていることを意味しています。億ションがずらりと揃い、買える資金がある人は、その辺りを買うのをおすすめします。現在の資産価値が高い街は、今後も価値が下がりにくいというのが、業界の定説です。

では、もう少し現実的な街を探してみましょう。さらにランキングの下位を見ていくと、8位に流山市(千葉県)が入っています。私も個人的に好きな街で、将来性のある街だと思っています。なんといっても、市長の井崎義治氏が面白い。2010年には「母になるなら、流山市。」というキャッチコピーで広告を展開して以来、子育て支援や教育環境の充実に力を注いできました。現在では子育て世代が多く、子供たちで賑わう活気ある街になっています。

もうひとつ、「つくばエキスプレス」の存在も大きい。2005年に開業して以来、駅周辺の熟成度が高まりつつあります。現在、流山市にあるつくばエキスプレスの駅は3つ(流山おおたかの森駅、流山セントラルパーク駅、南流山駅)。各駅とも良い街に育っていると実感します。例えば、流山おおたかの森駅の周辺は大手不動産会社が入り、住みよい環境が開発される一方で、オオタカの繁殖地が近隣に残り、人口が増えながらも自然も豊か、という理想的な魅力を持った街に成長しています。

子どもを産みやすいか

合計特殊出生率(後述)もかなり高い。関東1都6県で見ると、流山市は1.622の3位。全国平均は1.43です。首都圏だけみるなら1.1とか、場合によっては1.0を切るような市区町村もあるなか、高い数値を実現したことがわかります。ちなみに合計特殊出生率とは、1人の女性が一生の間に生む子どもの数を示す指標です。人口増加率と合計特殊出生率は密接な関りがあるので、併せてチェックしましょう。

関心のある街が見つかったら、その市区町村の公式ホームページを見てみましょう。「市長のあいさつ」など、市長のコメントが載るページがあり、トップがどういう考えでこの街を発展させようとしているのかがよくわかります。都市開発の項目もあれば要チェックです。いわゆる街づくりのコンセプトがわかります。もちろん将来のことは必ずしも実現するわけではありませんが、この街に夢があるかどうか、ご自身の将来のプランと重ねながら、検討する目安にはなるのではないでしょうか。

そもそも、なぜ「人口増加率」に注目するのでしょうか。

人が増えれば、経済や文化が発展します。さらに人が増えれば住宅が必要になる。すると地価が上がり、不動産価格も上昇する、といった好循環のスパイラルが形成されます。つまり、人口増加率は地価上昇率に繋がっていると考えることができます。

地価は上がっているか

次にチェックしたい指標は「地価上昇率」です。

地価上昇率には、いろんな指標がありますが、毎年3月下旬に国土交通省から発表される「公示地価」と、9月に都道府県が公表する「基準地価」を見るとよいでしょう。

公示地価に関しては、市区町村別に地価変動率が一覧できます。住宅地変動率の首都圏ランキングを見ると、トップは木更津市。次が柏市、我孫子市の地点が上位に挙がっています。そもそも、木更津市は7~8年前から変動率が高く、調査地点によっては毎年2%ぐらい上がっており、期待度が上がっている街として静かに知られていました。

木更津と聞くと「不便な街」とイメージする人もいるかもしれません。でもちょっと発想を変えてみると、アクアラインを使えば、むしろ千葉市より便利な街なんです。木更津の駅前から東京方面のアクアライン経由のバスが運行して、通期時間帯には5分に1回のペースで走っています。

東京湾の対岸、神奈川方面の住宅地から比べれば、相場の半分から3分の1、予算3000万円でしっかりとした庭が付いた一戸建てで暮らせます。生活面も安心です。大きな商業施設が近隣にいくつか揃っているので、不便は感じないでしょう。実は、コロナ禍でさすがにランキングは下がるのではないかと思いましたが、相変わらずの人気の強さを誇っています。

そうは言っても、木更津はやっぱり遠い。という人は埼玉方面へ。そこでも地価が上がっているところはあります。戸田市、川口市、蕨市などです。このあたりは、東京に近いのに、これまでさほど注目されてこなかったエリア。近頃は注目度が高まっていて狙い目です。

10年前と比べて、今いくらで取引されているのか

具体的に資産価値そのものの価値を表す指標もあります。不動産専門のデータ会社「東京カンテイ」は、ホームページでマンションや土地、戸建の価格情報を提供しています。この中の「中古マンションリセールバリュー」という調査を見てください。

中古マンションリセールバリューは、10年前の分譲マンションが今いくらで取引されているのかを比較したデータを駅ごとに提供しています。データの見方は次の通りです。例えば5,000万円の分譲マンションが10年後の今、6,000万円で取引されていれば、リセールバリューは120%。4,000万円に下がっていれば80%となります。

このデータから見ると、東横線沿線エリアはおすすめのひとつですが、人気の高い駅そのものは高すぎるので、その隣が狙い目。例えば武蔵小杉駅のひとつ、ふたつ先の駅周辺はかなり安く買えます。さらに高いエリアの周辺にあるので、いずれは影響を受けて上がっていきます。また、日々の暮らしを考えると人気エリアの喧騒から離れ、閑静な住宅街があり、古い商店が残っていたりして、地元の交流を楽しめることもメリットといえます。

都心のおすすめは月島駅、新富町駅が挙げられます。歩いて銀座に行ける利便性でありながら、分譲価格は銀座の3分の1から4分の1。高層マンションでなければ、手が届く物件もたくさんあります。

いずれにしろ、私がよくお伝えしているのは、「買える環境にあって、買いたいと思っていたときに、買いたいと思う物件が見つかったら、すぐに買ってください」ということ。この先、経済がどうなるのか、もしかして、買った物件の価値が下がるんじゃないかという不安は誰しもあります。でも、買えるうちに買っておかないと、いつの間にか買えない状況になり、一生手に入らないことになることもありえます。

買う時の年齢、環境、夢、人生プランと、それぞれの指標を参考にして、ぜひ、自分たちに合った街を見つけてください。

(2021/6/23掲載)

構成=内山賢一



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